百鬼夜行の主~番外編~


「主様、今回のは謝りますから機嫌を直してください」

映画を見終わり、人の多い喫茶店でコーヒーを飲みながら、鬼灯が言う。

私は目の前においてあるパンケーキを切り分けながら、鬼灯を睨んだ。ふわふわの生地に、さっぱりとした甘さの生クリームと、酸っぱいベリーソースのそれは、とても美味しい。美味しいのだがー

「……怒ってないし」

残念ながら、私の機嫌がなおるほどではなかった。

別に怒ってはいない。ただ単に百鬼夜行の主であるのにホラー映画がダメという醜態をさらしてしまったのだ。情けないやら恥ずかしいやら…


「別に、怒ってないもん…恥ずかしかっただけだし…映画がダメなだけで普通の妖怪は平気だし…」

「そうですか、でもいいんじゃないですか?ホラー映画が苦手でもかわいらしいですよ」

「そういう問題じゃない。」と呟きながら私は切り分けたパンケーキを口に入れた。

鬼灯はくすくすと笑いながら、私をみた。こいつ、絶対に楽しんでるだろ…!!!!


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