百鬼夜行の主~番外編~
「可愛らしかったですよ。映画のお化けにきゃーきゃーいってる幽も」
「……うるさい、塩まくぞ」
急に名前で呼ばれ、可愛らしいと言われる。それだけなのに、自分が舞い上がってしまうのが悔しくて、でも少し嬉しい。
やっぱり、自分は鬼灯のことが好きなんだと自覚しながら、赤くなる頬をごまかすようにパンケーキを口に含んだ。
しかし、それが照れ隠しなのを知っている鬼灯は、くすくすといたずらっぽい笑みを浮かべながら、私を見つめる。
「好きですよ。私のかわいい主」
突然の言葉に、私はフォークを持っていた手をとめる。そんな様子を鬼灯は楽しそうな笑みを浮かべながら見つめている。
「……バーカ、私もだよ」
そう言い返し、私は甘い甘いパンケーキを食べた。こんな日なら、たまには嫌いなホラー映画も悪くない。そんなことを思えるから、私の機嫌は少し治ったようだ。そう思い、私は小さく微笑んだ。
了