百鬼夜行の主~番外編~


猫か、俺はその場に座り込むと猫の頭をそっと撫でた。

黒、白、茶色のまだら模様の猫は、警戒心を感じさせることなく俺の手にすり寄ってきた。首輪はないが、人懐っこい。誰かが餌をやっているんだろう。

そんなことを考えながら、俺はゆっくりと近くにあったベンチに近寄った。

猫は俺の膝に飛び乗り、ちょこんと行儀よく座った。

動物は人に比べて妖気を感じ取りやすい。そのため、俺たち妖怪は普通は動物に嫌われるため、動物から俺たちに近づいてくるのは滅多にないが、この猫はそんなことをもお構い無しな様子で俺にすり寄っていた。

可愛いやつだ、俺は頬が緩むのを感じとりながら猫の頭をゆっくりと撫でた。

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