月光花の守人
リンゴを食べていた手を止め、マナトが消え入りそうな声で呟く。



「……何に、見える?」

「え……」



問いかけの意味がわからなく、まぬけな声しか出なかった。



マナトは笑う。



「オレ、今初めて怖いって思った。花を傷つける奴らは平気なのに。どうしてだろうな」



笑っているのに、どこか悲しそうで儚い笑みだった。



一陣の風が駆け抜けてゆく。



月と月光花だけが二人を見ていた。



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