【完】甘い生活~危険な幼なじみに溺愛されて~【上】p356まで加筆済
ふわり、と鼻腔に圭君の香りが広がって
泣きたい気持ちに駆られた。
「泣くなよ。わかってたし、フラれるっ
て。……なんで椎名が泣くんだよ」
圭君にそう言われるまで、泣いてる事に
気付かなかった。
だけど、自分が泣いてるんだって自覚し
たら、堰をきったように涙が溢れてきて
。
目頭が熱くなって、少し嗚咽を洩らす。
フるほうも、ツラいんだね……。
圭君の想いが、痛くて胸に突き刺さる。
勇敢な彼の気持ちは、私の一言で崩れ落
ちるんだもん。
ごめんね……本当にごめんなさい。
「椎名がさ、笑ってくれれば俺はそれで
いいんだ。これからも友達として、普通
に接してくれよ?」
「うん……もちろん!ありがとう、圭君
」
あなたの思いは、忘れないよ。