不良だらけの危険なバイトッ☆

お互い一歩も引かずに睨み合う。


ユキ君は歯をくいしばって苦しそうな表情を浮かべていた。


「俺にはもう生きる意味なんてないんだよ」


「そんなことない」


「救えなかったんだよ…、病気に苦しむ妹一人…俺は救えなかった」


その言葉と同時に苦しそうな表情が一気に緩む。


そしてユキ君は笑った。


「そんな俺にどうやって生きろって言うの」


涙よりも残酷な、笑顔だった。


「もう、死なせてよ。楽にしてよ」


そう言って彼は地上を見下ろした。


だめ…


壊れちゃう


ユキ君が




コワレチャウ…


降りしきる雪が冷たくユキ君を打ち付ける。


彼の姿は霞んで見えた。



「…だめだよ」


あたしはユキ君の背中にギュッと抱きついた。


「絶対壊させない!!!何があってもあたしは離さないから!!」

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