不良だらけの危険なバイトッ☆

そしてドアの取っ手に手をかけた。


「え、ちょっと瀬戸君っ!!」


「…何?」


あ…

いきなりすぎて思わず呼びとめちゃった。


「な、なんでもない」


気まずくなりながら答えると「そ」と一言だけが返ってきた。


「じゃあ俺はもう寝るから」


ガチャッ…


瀬戸君はドアを開ける。


「う、うんっ」


ほんと、謎だらけの人だな…


スラッとした背中を見送りながらそう思っていると


急に瀬戸君がこちらを振り返った。


「ユキでいいから」


「えっ?」


突然合わさった視線に心が追いつかない。


「呼び方。瀬戸じゃなくてユキって呼んで」


そんなにまっすぐ見つめられたらドキドキしちゃうよ。


「あ、うん」


だからそう答えるので精一杯。

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