焼け木杭に火はつくか?
「とくにかね、オレはちゃんと、一番最初に良ちゃんに話したんだからね。忘れたのは、良ちゃんの勝手だよ」

きっぱりと言い切る英吾に、良太郎は肩を落としうなだれた。
なんて身勝手で理不尽な言い分だと思いつつ、反論の言葉を良太郎は思いつかなかった。
そして、そんな良太郎にさらに追い打ちをかける者たちがいた。

「そうだ。そうだ。英吾は悪くね」
「そうそう。指きりまでした大事な約束を忘れた良太郎が悪い」
「でしょ。そうでしょ」
「俺の味方、どこーっ」

良太郎に向け、気の毒そうな顔をしながらも、英吾の肩を持ったほうが楽しそうだと思ったらしい聡と夏海に、良太郎は納得いかねーと喚きながら天を仰いだ。

「ほい。おまちどうさん。ケチャップご飯のオムレツのせ」

甘酸っぱい匂いを漂わせた皿が目の前に置かれ、英吾は歓声をあげて食べ始めた。

「うまっ ケチャップご飯、マジでうまっ お肉、いっぱい入ってる」

歓声を上げる英吾に、聡は嬉しそうに頬を緩ませた。
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