焼け木杭に火はつくか?
「良太郎。お昼はどうするの?」

無為のままため息ばかりが突いて出る時を過ごしていたら、いつの間にか、昼時になったらしい。
階下から聞こえた母親のその声に時計を見た良太郎は、何度目か判らない湿っぽい息を吐いた。


誰か助けてくれ。
いっそ。
引き出しの中から。
小人でも出てきて書いてくれねえかなあ。


そんなバカなことを考えながら、それでも良太郎は根っこが生えたように座り込んでいた座り心地の良すぎるイスから、よいこらしょっと立ち上がった。


気分転換でも。
してくるかー。


天井に向かい手を伸ばし、ぐぅーっと伸びをすると、良太郎は部屋を出て下へと降りた。

「昼飯はいいや。サトルくんのとこで食ってくる」
「そう。夕飯は?」
「んー、……連絡するよ」
「早めに決めて頂戴ね。用意してからいらないって言われても、母さんとっても困るんだから」

道代の言葉に、へいへいと答えながら、良太郎は道代の手元を見つめた。
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