紺碧の海 金色の砂漠
「ちょっとアル! わたしに怒ったって仕方ないでしょ! 違う人間に連絡してみる、とか。別の手段を考える、とか。動物園のライオンみたいにうろうろしてないで、もっと有益なことに時間を使えば?」


舞の言葉を聞くなり、ミシュアル国王はニヤリと笑った。
 

(そ、その笑顔って……)


「確かに、お前の言うとおりだ。どうせ待つしかないのだから、もっと有益に待つことにしよう」


そう言いながら、ラタンのカウチソファーに座る舞の隣に腰掛けた。

舞が手にしていたオレンジジュースの入ったグラスを取り上げ、ソッとテーブルに置く。


「ア、アル、まだ夕方だよ。夕食だってこれからだし……」

「では、夕食前に軽く運動することにしよう」
 

(絶対に“軽く”じゃ済まないくせにっ!)


舞はそう抗議しようとするが……開きかけた口を塞がれ、あっという間に深いキスに突入する。


「昼間も砂浜で頑張ったんだしさ……ねぇアル、せめて夜まで休んだほうが」

「有益なことに時間を使え、と言ったのはお前ではないか?」

「他にも何か、することが」

「ない! 愛する妻がしどけない姿でカウチに横たわり、私を誘惑しているのだぞ。夫のするべきことはひとつだ」


昼間は砂まみれにされたのだ。シャワーでようやくさっぱりして、寛いでいただけで……。


(誘惑なんてしてないってば~~!)


叫ぶ暇もなく、舞はスルスルと部屋着を脱がされた。
  

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