紺碧の海 金色の砂漠
いつの間に着替えたのか、スーツ姿からいつもの白いトーブとグトラ姿に変わっていた。

舞のほうは、ヒジャブは取ったもののアバヤは身につけたままだ。

彼はこれから公務で外に出る。でも舞はお留守番であった。


さっさとアバヤも脱いでしまおう、舞がそう思ったときだった。

グッと腰を掴まれ覆い被さるようにキスされる。

それはかなり激しく情熱的なキスだった。舞がレイ国王に見惚れていたことを、まだ怒ってるらしい。嫉妬全開で舞に息をする暇も与えない。

しかも……どうやらキスだけで済みそうな気配ではなかった。


「ね、アル……今から公務でしょ? 時間ないんじゃない?」

「二十分ある」

「外は……明るいし……あ、ん」
 

唇が離れた瞬間、ミシュアル国王は舞の手を噴水近くの円形テーブルにつかせた。彼は背後に立つと舞のアバヤをたくし上げ、太腿の内側をなぞる。

舞が声を上げたのはこのときだ。 


「舞、ショートパンツは穿くなと言ったであろう」


少しムッとした声でミシュアル国王は言う。

ズボンの類を嫌がる彼のため、舞はスカートを穿くことが多くなった。でも、到着後はすぐに独りになるだろうからと思い、アバヤを身につけるときに着替えたのだ。まさか、二十分空いただけでこんなことを始めるとは思わない。

ボタンとファスナーを外され、ストンと足元に麻のショートパンツが落ちた。


「きゃっ!」


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