紺碧の海 金色の砂漠
答えは誰の目にもあきらかであろう。


しかもそのときは、愚かな弟に代わって、ミシュアルがライラの面倒をみる必要がでてくる。これまでなら当たり前のように妻のひとりに迎えてきた。

だが、それは王の判断で回避するとして……。

将来、正妃である舞に男子が恵まれなかったとき、再び、ライラを妻にという声が上がるのが目に見えるようだ。


ミシュアルの叱責にラシードは言葉を失う。

だが、ラシードの言い訳にミシュアルはある確信を得ていた。今はまだ、クアルン国内において何も起こってはいないのだ、と。


間違いなく、リドワーンによって情報操作され、混乱を招いているのは事実だ。しかし、まだ反乱といえる段階ではない。

彼はミシュアルをルシーアの宮殿に呼び出し、いったいどんな要求を突きつけるつもりなのか。

ミシュアルの力を殺ぐ為、ターヒルとヤイーシュを遠ざけたのはわかる。だが、それにしてはヤイーシュに対するやり口が辛辣すぎる。まるでヤイーシュは殺しても構わない、というような……。


『国王陛下、ヘリの用意ができました!』

『わかった』
 

(ヤイーシュをアズウォルドに残してきて正解だった。いろいろ含むところはあるが、ヤイーシュなら舞を守るだろう。それでも何かあったときは……)
 

最悪の場合にならないことを願いつつ、ミシュアルはヘリに向かって足を進めた。


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