紺碧の海 金色の砂漠
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セルリアン島に一旦戻ったものの、ヤイーシュだけ降ろし、舞とシャムスは本島に行くことになった。

王宮でのディナーに招待されたからだ。

レイ国王とティナ、それにレイ国王の大伯父にあたるリューク王子夫妻と彼の孫アーロン王子も一緒だった。

アーロン王子はレイ国王の異母弟でもあるという。真面目そうで口数の少ない十三歳の少年は、淡い茶色の髪とアズルブルーの瞳がレイ国王によく似ていた。


『遅くなったので国賓室に泊まって行くといい』


夜も更けて、舞はレイ国王の言葉に従う。

ミシュアル国王がいつ戻ってくるのか、夕食の席で聞くことはできなかった。だが、一夜明けたら聞く機会もあるだろう。そんなふうに考えたからだ。


王宮正殿の国賓室はふたりでも広いのに、ひとりだと寂しすぎる。シャムスに一緒にいて欲しいと頼んだが、ヤイーシュに代わって付いてきていたダーウードが、


『王妃と女官が同じ部屋で寝るなどとんでもない!』


と喚き、舞はひとりきりになったのだった。


(ダーウードの石頭っ! ほんと、生きた化石なんだから……)


昼間も、そして夕食の間も、ティナたちは舞の寂しさを紛らわせてくれようと必死だった。

そのことがわかるだけに、舞も精一杯明るく笑ったつもりだ。

でも……どんなにキレイな景色も、美味しい食事も、これ以上望めないような豪華な部屋を与えられても、ひとりでは色褪せる。ミシュアル国王が一緒でないと心細さが付きまとう。


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