紺碧の海 金色の砂漠
「そうであれば望ましいということだ。あなたには直ちに検査を受けていただく。この国で可能ですね? レイ陛下」

「もちろんだ。しかし……」


舞がハッとして振り向くと、そこにレイ国王とティナがいた。


普段と変わらないレイ国王に比べ、ティナは顔面蒼白であった。

ビスクドールのような白い肌が、さらに透けて見えるほど。今にも倒れてしまいそうで、舞のほうが心配になる。


「我が国でも検査は可能だ。しかし、この時期の検査で性別まで知るのは不可能ではないかな?」


レイ国王の言葉に、笹原は答える。


「承知しております。今は、妃殿下のご懐妊を確認することが何より重要。可能性であっても、ご誕生までは男子として推測され、立派な後継王子として認められます。私はなんとしても、アルの息子を次期国王にしなければならない! それが、私の成すべきことですから」

「しかし……」


そこに口を挟んだのはヤイーシュだ。


「……その場合、危険を孕んだクアルン王国に妃殿下をお連れしなくてはなりません。国の医療機関でご懐妊を確認せよと、長老会議のお歴々は求めるでしょう」

「正直者だな、ヤイーシュ」


そう言うと笹原は片頬を歪めた。

ヤイーシュはムッとしたが、反論は飲み込んだようだ。


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