紺碧の海 金色の砂漠

(17)ロマンスに向かない男

(17)ロマンスに向かない男



さすがの舞でも、まだ水が噴き出している小屋には近寄れなかった。

コテージの正面に回り、入り江の砂浜方向を目指すが……。


(どこからが海かわかんないじゃない!)


夜の海と言うのは本当に真っ暗だ。ましてや、海面を叩く雨音が激しくて、どんな気配も感じ取ることができない。

無駄にウロウロするくらいなら、車を走らせて助けを呼びに行こう。舞はそう考えた。

森の入り口には警官が立っていて、舞たちは引き止められたのだ。

乗っているのがティナとわかり、「この後に陛下たちもお見えになるのよ」と彼女が言うと、警官たちは最敬礼で通してくれた。


(アソコまで行けば、きっと警官が助けてくれるわ。大勢で探したほうが絶対にマシよ!)


舞はティナのことを思って泣きそうになる。

でも、呑気に泣いている場合ではないのだ。パンパン顔を叩くと、邪魔なスカートを腰の辺りまでたくし上げ、裾をウエストに押し込む。そのまま、コテージに駆け戻った。

窓が割れ、雨風が吹き込む部屋に飛び込み、バッグの中を床にぶちまけて車のキーを探す。


(なんでないのよ……絶対この中に入れたのに……)


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