愛と欲望の螺旋(仮)

「ったく、イケメンだからって、何やっても許されると思っているんだから。」


ブツブツと文句を言つづけながら、トイレから出てきて。


泉希に頼まれたコーヒーを買うために、自販機の前に立った。


財布の中から小銭を探して手に取ると、自販機にお金を入れようとした時。


スッと後ろから手が出てきて。


ギョッとしながら振り返った。


「このコーヒー、自分は好きですよ。」


そう言いながら、さっきの黒崎っていう男が自販機に小銭を入れて、泉希が好きなコーヒーミルクのボタンを押した。


ガコンッ!!


コーヒーミルクが落ちてくると、それを手に取って私に差し出した。


「私、ブラック派なんで。」


差し出されたコーヒーミルクに目もくれず、持っていた小銭を自販機に入れると、コーヒーミルクの隣のブラックコーヒーのボタンを押した。


落ちてきたコーヒーを手に取って、サッサと会場の席に戻った。


「ったく…買収?いい人ぶって、華組に入れって断れないようにするつもりなんでしょ。」


もう一度、ブツブツと文句を言うと、ドカッとイスに座った。


手に持った缶コーヒーと開けると、ゴクゴクと一気に飲み干して。


プハァ~っと呼吸をしながら、バンッ!!と勢いよく空になったコーヒーをテーブルに置いた。


「荒れているねぇ~。」


苦笑いを浮かべながら、泉希がチラッと私の顔を見た。

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