愛と欲望の螺旋(仮)
「もしもし…」
外行きのワントーン高い声で電話に出ながら、急いでお店の外に出た。
「この前は、失礼しました。」
聞き覚えのあるような男の人の声。
でも、この声にパッと頭に浮かぶ男の人は出てこなくて。
間違い電話?
その言葉が、すぐに頭に浮かんできた。
「あの…どちらにお掛けでしょうか?」
甘い期待は、一瞬にしてテンションの下がった声で分かってしまうくらい。
なのに
「すみません。バーンブルーの黒崎です。」
その一言で、落ち切っていた心は一気に困惑と怒りに変わって。
「どうして番号を知っているんですか!?」
驚きで、大きくなってしまう声。
だって、連絡先なんて絶対に知られるはずなんかない。