愛と欲望の螺旋(仮)
「泉希さんに聞きました。」
私の驚いた声なんか気にもしていないかのように、柔らかい声で答えた。
「泉希が!?」
どうしてそんなことを?
クッキリと深いシワを刻みながら。
眉はゆがんでしまう。
「丁寧にお断りの電話をしてくれました。」
その言葉に歪んだ眉はゆるんで、ホッと肩の力が抜けた感じがした。
「じゃあ、どうして電話を?」
泉希が断ってくれたなら、わざわざ電話をしてくる意味が分からない。
もしかして、律儀な人?
断りをもらったから、もう華組のことは考えなくていいってこと?
「宝条さんのお力を貸していただけないかと思いまして。」
「私のですか?だって、泉希が断ったんじゃないんですか?」
「はい。華組とは関係あるのですが…」
「イヤです。」
キッパリと即答した。
だって、華組と関係があるんでしょ?
絶対にイヤ。
「華組に入ってくれって話ではないですよ?」
クスッと笑った電話の向こうの声に、少しイラッとはしたけど。
華組に入れって事じゃないなら、一体、何に力を貸してほしいって言うの?