愛と欲望の螺旋(仮)

「すみません。用意できる部屋がなくて…」


申し訳なさそうな顔をしながら、黒崎が軽く頭を下げた。


「大丈夫です。実はホームレスなんてウソなんです。黒崎の話を断りたくて。」


ニッコリと笑って答えた。


ウソだって言えたのと、黒崎なんかと一緒には住まなくていいってホッとした感覚。


「そんなウソまでつかなくても大丈夫よ。黒崎の部屋は、玄関の真向いの部屋だし。アナタの部屋は、リビングの目の前の龍栖さんが使っている部屋だから。」

「本当に、家はありますから!!」


必死に否定しているのに。


「契約書の内容に少し触れるけど、どうして華組の関係者まで、ここに住んでいると思うのかしら?」

「分かりません。」


「華組の管理の関係もあるけど、情報を漏えいさせないためよ。」

「情報の漏えいですか?」


「華組は、神秘なベールに包まれているの。イメージを壊さないように。万が一、ここの内部情報が外に漏れたら?一発で華組は終わってしまうわ。」

「それは分かりますけど。私は情報なんて洩らしません!!」


藤原さんの目を見て、ハッキリと答えた。

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