愛と欲望の螺旋(仮)
私の小さな夢は、漫画の編集者になることだった。
だから漫画の作業工程とか、販売に至るまでを勉強したくて。
同人誌を書き始めた。
元々、絵は得意だったから。
抵抗とかそういうのはなかったし、そこそこ売れてくれて。
逆にビックリしたくらい。
だけど、この就職難の時代。
出版社に就職は至難の業。
ことごとく不採用の通知が来て。
今はフリーターをしながら、細々と同人誌を書いているくらい。
「あの…宝条桜(ほうじょう・さくら)さんですよね?」
中学生くらいの女の子が、うっとりしたような表情を浮かべながら。
うつむく私の顔をのぞき込んだ。