愛と欲望の螺旋(仮)
「まあ、ひとつ忠告しておくわ。」
「何を?」
「龍栖さんにだけは、絶対に会わせない方がいいわよ?」
「分かっている。湊兄(みなにい)から、スケジュールを細かく聞いているから、絶対にアニキには会わせない。」
真剣な眼差しで、ジッと藤原の目を見た。
「その方が賢明よ。あんなダイヤの原石なんて見せたら、専務はどんな手を使うか分からないわ。」
さっきまでの冗談半分の目じゃない。
藤原の目も真剣になっている。
「アニキの事だ。どんな汚い手を使ってくるか分からない。」
冷酷非道。
冷徹。
そんな言葉しか持ち合わせていない非情な人間だ。
「ええ…崖っぷちの華組…バーンブルーの華組部署を復活させるのに。でも、本当に惜しいけどね。」
クスッと笑った。
その笑った意味なんて分からなかった。
ただ、アニキには会わせられない。
それだけしか考えられなかった。