愛と欲望の螺旋(仮)

そういえば、すっかりご飯って存在を忘れていた。


部屋の電気をつけるついでに、カウンターキッチンに立った。


「さて、今日は簡単にパスタにでもしようかな?」


いつもなら、華組の為に作られる食事があるんだけど。


それを取りに行くのも…時間が遅い。


今日は自炊だ。


冷蔵庫の中から、適当に食材を出して。


パスタを手早く作るはずだった。


ガチャって玄関で音がして。


黒崎が来たのかな?


段ボールは藤原さんが送ってくれるって手配していたし。


何かを取りに来ただけ?


ふと廊下のドアを見たと同時。


カチャッとドアが開いて、見知らぬ男の人が入ってきた。


「あ…」


言葉と視線が同時に男の人と合った。


男の人が私に驚いたのは一瞬。

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