人生はドラマである

「社長、ちょっと待ってて下さいね。直ぐ取ってきますから」



帰って来るなり、玄関口に一条さんを待たせ、二階の自室に駆けあがっていくママを目で追った。


――チャンス到来！


僕はすかさず行動に出た。


「一条さん、ママは僕がいると幸せになれないのかな？」

「どうした、ツバサくん？」

「だって……、僕みたいな子供、オニモツって言うんでしょ？」


その言葉を聞いて、一条さんは顔をしかめた。


「そんなこと、誰がいったんだい？」

「早乙女さんはまだ若くて綺麗なのに、あんなオニモツがいちゃサイコンもママならないわね、って近所のおばさんんたちが言ってました。

でも、再婚、って何かな？

それって凄くいいものなの？」


実際それは、僕が耳にしたことのある言葉だったから、リアリティがあると思ったんだ。