龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
「僕が確かめて来るから、しづ姫といてあげて」


悟くんがそう言うと、和子さんはハッとしたように居住まいを正した。


「いえ、わたしが見て参ります。大奥様と圭吾様から、万事滞りないようにと家の中の事を全て任されているのですから」


「無茶だって、ばあちゃん」


うん、わたしもそう思う。


「お見苦しい所をお見せしまして、申し訳ありません。羽竜の御本家に仕える者としては、あるまじき事でございました」


気丈にも、和子さんは立ち上がった。

すると、わたしの足元をウロウロしていたペロが、急に耳をピンと立てて立ち止まった。


「ペロ? どうしたの?」


何か聞こえたのだろうか、次の瞬間、ペロは勢いよく走りだした。


「ペロ?!」


悟くんが捕まえようとしたけど、ペロは素早くすり抜けて行ってしまった。

向かう先は、さっき和子さんが指差した方向。

得体の知れない影が通って行った先だ。


「悟くん、どうしよう!」


「黙ってても戻って来るんじゃない?」

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