龍とわたしと裏庭で⑥【高3新学期編】
わたしはコクリと頷いた。


「お前もだ」


圭吾さんは、わたしの足元にいたペロにも言った。

ペロは、おとなしく床に伏せた。


待ってる


要さんの後を追って走る圭吾さんの背中が、角を曲がって見えなくなる。


待ってる

だから帰って来て

三人で戻って来て

お願い、龍神様

みんなを守って

わたしから大切な人達を取り上げないで


「大丈夫ですよ、志鶴様。皆様、お強い方ですから」


「和子さん、わたし、なんにもできない……」


思わず泣言を言うと、和子さんはわたしを抱きしめた。


「戦われる必要はないのです。戦う殿方に力を与え、安らぎを与えるのが羽竜の女のお仕事でございます。皆様が戻られたら、笑顔でお迎え下さいませ」


和子さんのぬくもりは、おばあちゃんを思わせた。

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