雨が見ていた~Painful love~


私の都合なんて御構い無しのキョウちゃんにガッカリしながら


「じゃあ……
中で待たせてもらおうかな。」

そう答えると

「あぁ、そうした方がいい。
ここは少し寒いから。」




拓真くんはぶっきらぼうに呟いて、ゆっくりと扉を開いてくれた。


そっけないけれど
口数は少ないけれど‥‥
見てるだけじゃわからなかった。拓真くんってすごく優しい人なんだ。


泳いでいる姿はまるでクジラのようで、大きな水しぶきをあげながら、豪快にプールを泳ぐ拓真くん。


彼は無口でぶっきらぼう。でも、拓真くんはとても優しくて、さりげない気配りのできる男の子なんだな‥‥。




それに気づいた、その瞬間。私の心は彼にガッチリと捉えられてしまった。



「じゃあ、またな。」



雨の中を駆け抜けていった彼の背中に、私は恋をした。





彼をもっと知りたい

もっと話してみたい

もっともっと近づきたい




見るだけで十分だった自分が素直にそんな欲に駆られたのは生まれて初めてだった。

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