愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 この、演劇部の合宿所に使っている施設は、勇斗の家の別荘だったり。

 豪華でリアルな演劇部の衣装も、部費よりは、彼の有り余るポケットマネーで賄っているのだ。

 一年のくせに先輩に向かってため口をきく『俺様』が許される勇斗に、凪は、肩をすくめた。

「まさか。
 俺が、貝原(かいばら)さんに、変なのを食わす訳ないだろ?
 それに、勇斗。
 お前、俺や貝原さんより一つ下の一年のくせに、いつも生意気なんだよ」

「四月一日生まれのクソヤローに言われたくなんざねぇな!」

「一日違いでも、先輩は、先輩」

「……!」

 思い切り睨む勇斗に、凪は笑う。

「……だけど、今日のその衣装じゃ怒る気にもならねぇな。
 舞台の上でさえ、誰も貝原真珠には、触らせねぇ、なんて。
 貝原さんが男装王子の役に決まった途端。
 自分から女装花嫁役をやるってぇ激甘っぷり。
 なんとかしないと、貝原さんにウザがられるぜ?」

「てんめー! 海野!
 今日という今日は、緩さねぇぞ!
 表に出やがれ!」

 皮肉っぽい凪の言葉に、怒って立ち上がる勇斗の衣装は、確かにウェディングドレスだ。

 しかも下手に、似合っているから始末が悪い。
 
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