愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 その映像は、一瞬。

 勇斗の心を潰れそうなほどの懐かしさと切なさに誘い。

 過去の映像が、もっと、深く深く、心に入って来た真珠の両目からは、いつの間にか、涙が出てた。

 泣いて。

 泣いて。

 余りに泣いて、もう真珠には、演劇部の練習なんて、出来なかった。

 その涙は、衣装を脱いで、ウィッグを脱いでもまだ続いてた。

 心が痛くて、悲しくて。

 勇斗が特別に用意してくれた個室に入っても、まだ泣いていた。



 懐かしい、思い。

 今生ではない、ずっとずっと昔の記憶。

 生まれる前の記憶だと、理性ではなく感情で。

 心の奥で、判る……

 着物を着た女の子は、きっと、わたしだと、真珠は思った。

 そして、剣を持った男は『茂吉(もきち)』

 元は百姓だったのに、剣の腕一本で、身を立てた男だ。




 ……遥かな昔に、真珠が愛した男だった。
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