愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
「……さま! 勇斗さま!」

 ずっとずっと耳について離れない、蝉の声を押しのけるように。

 聞きなれた人間の声が聞こえて、ようやく、勇斗は我に返った。

 まるで、稲妻のように一瞬に走る、しかし。

 長い過去の記憶に翻弄(ほんろう)されてしまった勇斗は、恐る恐る辺りを見まわした。

「……ここは……ドコだ……?」



「草薙家、別荘です。
 ただ今勇斗さまが、演劇部の合宿所に提供している館の裏庭です!」

「……!」

 まさか、応(こた)えが返って来るとは思わずに。

 勇斗は一瞬、ぎょっとした。

 ……けれども。

「……なんだ、山田じゃないか」

 ぬっと、勇斗の視界をさえぎる、黒服の大男の顔を見て、勇斗はほっと、ため息をついた。

 普段使っていない別荘を、いきなり大人数で使うため、何かと不都合があったら困るだろう、と。

 勇斗の父が貸してくれた第三秘書だ。

 ガタイが大きく、まだ若いので、そうは見えないが、何かと気が効く上に、面倒見が良い。

 まるで、テレビやドラマの中ではなじみの執事のように、勇斗に気を使ってくれていた。

「急に、外に飛び出したかと思いましたら、そのまま座り込んでしまわれて……一体何があったんですか?」
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