愛を叫んで地に堕ちて〈全イラスト41枚つき恋愛ホラー〉
 そんな『何があったか』なんて聞かれても。

 最愛の恋人であるはずの、真珠に乱暴をした?

 蝉の声を聞いて、過去を思い出し、前世の自分を見てた?

 ……などど、どちらも素直に言えるはずもなく。

 勇斗は、まだぐらぐらと眩暈のする頭を抱えて、心配そうな山田を邪険に追い払った。

「……いい、何でもない」

「何でもない、じゃありません!
 私の見ている前で勇斗さまが、熱中症で倒れた、となっては、社長に申し開きが立ちません!」

「熱中症なんかじゃねぇし!
 ……大げさだな」

「大げさじゃないです!
 顔色が最悪じゃないですか!
 そもそも、今、地面に座り込んでいるのに、自分でちゃんと、立てるんですか?」

 そんなの簡単だ、と勇斗は立ち上がりかけ、まだ、おさまりきれない眩暈に尻もちをつく。

 その様子を見て、山田は深々とため息をつくと、ひょい、と軽々勇斗を持ち上げた。


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