Liars' clovers
 群生する四つ葉を不審に思われないだろうか。

 葉ばかりで花が一輪も咲いていないのに気付くだろうか。

 その前にクローバーでないことがわかるのではないか、などという心配は杞憂に終わった。

 ぼくのウソはバレなかったのだ。

「こんなにたくさん──すごいわ。四つ葉ってあまり生えていないんでしょう?」

 感嘆する彼女に罪悪感をおぼえつつも、ぼくは嘘を守るために思ってもいない嘘を重ねた。

「きっとここは幸せの森なんだよ。だから四つ葉もこんなにあるんだ」

「幸せの森……素敵な言葉ね」

 自分でも嫌になるくらい白々しいセリフだった。

 それでもエミルは嬉しそうに笑う。

 ぼくの嘘を疑わない。

「さ、摘んで帰ろう?」

 いたたまれなくなって彼女を促す。

「……そうね。ねえ──」

 言い掛けた彼女はうつむいてなかなか次の言葉をつごうとしなかった。

「何?」

 問い返してみても反応がない。
 ……まさかバレたのだろうか。
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