Liars' clovers
 ぼくが焦りはじめたとき、やっと彼女が顔を上げた。

 深緑の瞳がまっすぐにぼくを見据える。

 心臓が跳ね、ぼくはたまらず目をそらした。

「──ありがとう」

 予想外の言葉に驚いて彼女を見ると、ほのかに紅潮した頬とその上で細められた碧が、心からの感謝を伝えていた。

「どう、いたしまして……」

 この嘘がバレてはいけないとあらためて思った。


 一本ずつ四つ葉を摘んで、ぼくらは帰る。

 片手には互いの手を、空いた手には偽物のクローバーをにぎりしめて。



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