Liars' clovers
「……昨日、あなたと過ごした時間よ。あのときわたしはとても幸せだった」


 彼女は語る。

 本や人づての話でしか知らない、外の世界を直接体感してみたかった。

 初めて手に入れた四つ葉に願ったのは、健康な体になって外を自由に歩くことだった、と。


「でも最初から四つ葉に頼る必要なんてなかったのよ。わたしは自分の足で歩けるわ。ほんの少し勇気を出せば、外に出られたの」

 だってこんなに近いんだもの、そういって窓の外に手を伸ばす。

「けれど一度もそうしたことはなかった。わたしにはそんな少しの勇気もなかったのね。……だから、あのときあなたに賭けたの」

「『賭けた』……?」

「そう。──あなたが、わたしを連れ出してくれるかどうかに」

 ずるい賭けだった、と彼女は呟く。


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