ナツメ
第4章
外はもう夏の風が吹いていた。


朝、ナツメに着替えを手渡された時、サヨナラなんだなとひどく冷静に思った。

手渡された服は、わたしがナツメとはじめて会った日に着ていた服。
わたしの唯一の持ち物だ。

着替えを済ませてキッチンの椅子に座る。

ずっと座り続けたこの椅子ともサヨナラかと思うと、その椅子の固ささえも愛しく思えた。
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