ナツメ
苦しさから解放されて、心臓がどどどっと一気に打ちだすと生きていることを感じる。

わたしは、ただ、のうのうと生きているわけではない。

ちゃんと苦しみを感じて苦しみと共に生きているという実感。

それがなにより甘美で、なにより生きていることの証のように思えた。


ナツメは言う。

「君はさ、ただ愛されたかっただけでしょう? 
愛してくれる人なら誰でも良かったはずだよ。別に別れた彼氏じゃなくても」
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