ナツメ
そして、わたしは箸もスプーンも持つことを止めた。

わたしもナツメも狂ってはいない。

ただ少しイカレているだけだ。


ナツメがなにもしなくていいと言うので、わたしはなにもしない。

ただナツメが作って与えてくれる食事を胃に流し込むだけ。

相変わらず吐気は伴う。
味も感じない。
飲み込まされるのは苦しい。

でも、苦しみの後にやってくる速い呼吸が好きだった。
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