ナツメ
なんにもいらないとナツメが言うので、その足で彼の部屋へと向かった。


不安も迷いも感じない。

例えこの男が快楽主義者でわたしを嬲り殺したって構わないと思った。

殺されても構わない。
その想いは他の感情全てを麻痺させた。

得体の知れない男に「飼われる」なんてどうかしている。

まともな人間の判断じゃない。

死にたい。
死んでしまいたい。

そう思ってはいるものの、わたしは自分で自分の命を絶つことができない。
してはいけないのだ。
< 8 / 136 >

この作品をシェア

pagetop