本気の恋の始め方
「あー鼻いたい」
そう言いつつも、ぺろりと平らげた千野君は、まだモタモタと半分も食べていない私の手元を見て、
「ゆっくり食べてください」
と微笑む。
「ありがとう」
だけど
「――」
「どうして見てるの?」
千野君はコーラを飲みながら、なぜか私の顔をじっと見つめて目を逸らさない。
「モグモグしてる潤さんが可愛いから」
「――」
「そうやって恥ずかしそうにうつむかれると、なおのこと目が離せないというか?」
「もう、やだっ!」
千野君に背中を向けると、後ろから明るい笑い声がする。
楽しいなって、素直に感じた。
週末はいつも一人で過ごして満足していたから、誰かとこんな風に過ごせるなんて、少し前の私なら、想像もしてなかった。