本気の恋の始め方
「千野千早、かなりのお値打ち物件よ。数年後には今の十倍の競争率になるわよ」
「お値打ちとか、競争率とか、失礼ですよ。彼はモノじゃないんだから……」
彼のことをちゃんと知らないうちに『流されて』してしまった私が言うのもなんだけど、確かに鮎子さんの言うとおり、千野君は感じのいい子だし、話しやすいって思う。
いつまでも、しつこくるうくんのことを思っているより、少しずつ千野君のことを好きになる方が、ずっと建設的な毎日を送れるんじゃないかって、そんな気もする。
実際のところ、私だって、たぶん……彼に惹かれてる……。
だけど……。だけどつき合うとなったら、話は違う。
怖くて踏み出せない。
私は上手な恋の仕方を知らないから。
自信がない。