本気の恋の始め方
「ああ、潤さんが取られるって思ったら、潤さんの気持ちなんかぜんぜん考えられなくて……」
「千野君」
「せっかく親しくなれたって思ったのに、もう、終わりなんだって思ったら……」
声が消え入るように細くなる。
私を抱きしめる腕にさらに力が込もる。
千野君は「俺なんか」なんて言葉が似合わない、誰が見ても素敵な男の人。
人当たりがよくて、優しいだけじゃない。
こんな私でもすらすらと思うことを話せるくらい、聞き上手で。きっと頭の回転が速いんだと思う。
それに、外見だって誰が見ても「カッコいい」って思うに違いない。
なのに彼は、私を取られると言う。
再会したばかりのるうくんに。
そんなわけないのに。
るうくんは私に「申し訳ない」という気持ちしか抱いていないのに。