本気の恋の始め方

「潤さんがずっと、好きだった……なのに……こんなことしかできない自分が……情けない……」



かすれた切なげな声。

千野君の柔らかで、さらっとした栗色の髪が頬にふれる。



「ずっとって……そういえば、私の住むマンションの下に友達が住んでるから?」



だから私のことを一ノ瀬ホールディングスに入る前から知ってるって。


私の問いに千野君は少し悲しげな表情を浮かべ、かぶりを振る。



「俺ね、潤さんのこと、本当は潤さんが引っ越してきたときから……学生のころから知ってるんですよ」

「え……」



あのマンションに引っ越してきたときって、もう四年も前なのに。

彼はなんだか複雑そうな表情で私を見つめていた。



「潤さんは覚えてなくて当然。だって俺、高校生だったし」

「高校生……?」

「ええ」



そうよね。
私が二十歳の頃なら、千野君は十八歳だもの。




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