本気の恋の始め方

「すみません、今帰るところです!」



立ち上がろうとする千野君を手で制し、バタバタと荷物を片づけるところを見せると

「わかりました、出られるときに連絡お願いしますね~」

「はい!」

警備員さんはぺこっと一礼し、そのままほかの部屋を見に行った。



制服のボタン留めといてよかった……。


ほっとしつつも、まだ私の足下に座り込んでいる千野君を見下ろす。




「千野君、帰ろう」

「はい……」



しょんぼりしながら立ち上がる千野君は、耳としっぽが垂れた大型犬みたい。


どうしよう……。

元気、出してほしいな。

どうしたらいい?

どうやったらまた笑ってくれる?




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