本気の恋の始め方
そしてここ、Guido Fawkesは‘赤と黒の蜘蛛’のメンバーの溜まり場でもあって、運が良ければ彼らの演奏や歌を聴くことが出来るらしい。
入り口のカウンターに座っていた、こぎれいな男の子たちはきっと彼らだったんだ。
「面白いものって、これだったのね」
「はい」
千野君はにこやかに微笑みながら、バーの奥でチェロを抱えている男の子に目をやった。
「要のチェロは本当にすばらしいです。きっと潤さんも気に入ると思いますよ」
一柳要(イチヤナギカナメ)
白いシャツの上にラベンダー色のカーディガン、ブラックデニムにレザースニーカー。格好はごくごく普通。
一見すると、やっぱりセレブ大学として有名な高天原(タカマガハラ)大学の学生さんぽいなって感じ。
どこか無表情にも見えるけれど、すっきりとした切れ長の奥の瞳は、墨色で、物静か。
焦げ茶色のセルフレームの眼鏡もよく似合っている。
黒髪で……クールビューティーっていうのかな。
少し、るうくんとタイプが似てるかも……なんて思った瞬間。
一柳要の、弓を持つ腕がすうっと動いて
その後響いた最初の一音
Guido Fawkesの中の空気が変わった。