本気の恋の始め方

そしてここ、Guido Fawkesは‘赤と黒の蜘蛛’のメンバーの溜まり場でもあって、運が良ければ彼らの演奏や歌を聴くことが出来るらしい。

入り口のカウンターに座っていた、こぎれいな男の子たちはきっと彼らだったんだ。



「面白いものって、これだったのね」

「はい」



千野君はにこやかに微笑みながら、バーの奥でチェロを抱えている男の子に目をやった。



「要のチェロは本当にすばらしいです。きっと潤さんも気に入ると思いますよ」



一柳要(イチヤナギカナメ)

白いシャツの上にラベンダー色のカーディガン、ブラックデニムにレザースニーカー。格好はごくごく普通。

一見すると、やっぱりセレブ大学として有名な高天原(タカマガハラ)大学の学生さんぽいなって感じ。

どこか無表情にも見えるけれど、すっきりとした切れ長の奥の瞳は、墨色で、物静か。

焦げ茶色のセルフレームの眼鏡もよく似合っている。


黒髪で……クールビューティーっていうのかな。


少し、るうくんとタイプが似てるかも……なんて思った瞬間。



一柳要の、弓を持つ腕がすうっと動いて

その後響いた最初の一音


Guido Fawkesの中の空気が変わった。



< 161 / 446 >

この作品をシェア

pagetop