本気の恋の始め方
「ごめんなさい……」
手のひらを押しつけられていたわけじゃないから、しゃべることは出来る。
凹みながら目線を下げると
「あ、いや、違いますっ……!」
今度は慌てて私の口元から手を離し、なんだか泣きそうな顔をして首を振る千野君。
「俺が潤さんの言葉を遮(サエギ)ったのはそういう意味じゃなくて――!」
『うるさいぞー!』
どこのフロアからか、私たちをとがめる声が響いた。
「あ……」
その声に千野君も黙り込む。
廊下で話すうちにだんだん声が大きくなっていたみたい。
どうしよう……。
「――あの」
一瞬迷ったけど口に出していた。
「よかったら、うちに上がっていって」