本気の恋の始め方
「え、でも」
「その……ここで話してると、ご近所迷惑になるし……」
「――そう、ですね」
仕方なく、といった雰囲気で、彼は私が鍵を開けたドアの中に一歩足を踏み入れて。
けれど靴は脱がないまま立ち止まってしまった。
「――どうぞ」
ドアの鍵を閉め、何か言いたそうな千野君を置いて、部屋の中へと入っていく。
こうでもしないと彼は上がってくれなさそうだから……。
引かれるかもしれないと思いつつも、行動に出た。
「お邪魔します」
「カモミールティー、飲める?」
「――」
あとから付いてきた千野君は、私の言葉に一瞬目を丸くしたけれど、大人しくこっくりとうなずいた。
「ええ、好きです。カモミール」
「そこに座って、ゆっくりしてて」
「はい」