本気の恋の始め方

キッチンでお茶の準備をしながらこっそり様子をうかがうと、千野君は小さなテーブルの前で、手持ちぶさたにクッションを抱え、三角に座っていた。


めちゃめちゃ手足が長いから、そうやって座っているだけで、見慣れた自分の部屋が異次元に見えるし、狭く感じてしまう。


彼は部屋をぼんやりとした様子で眺めている。



さらさらの栗色の髪、くっきりした二重瞼。
すっきりと高い鼻に甘い雰囲気の唇。


ギリシャ神話に出てくる、女神様が恋する若者ってこんな人だったんじゃないかって。

大げさかもしれないけど、彼の横顔の美しさに見とれながらそんなことを思った。



だけどわからないし、思い出せない。

高校生だった千野君と私は、いつどこで出会ったんだろう……。





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