本気の恋の始め方

「じゅんさん……ほんもの。いいにおい……」



唇が、首筋に押しつけられる。



「え、ちょっと、千野君ねぼけてる!?」



狭いソファーの上でぎゅうっと抱きしめられて、息が止まりそう。


っていうか千野君でっかいんだから、つぶれちゃうー!!



「もーっ、起きて!」



両手で彼の頬をびよーんとつかんで引っ張ったら、

「いひゃ……!」

千野君がぱちっと目を覚まして、それから上半身を起こし、私をじっと見つめた。



「――あれ……潤さん」

「おはよう、千野君」

「おはようございます」

「ごはん、食べる?」

「たべる……」



一応起きたことは起きたけど、全然寝ぼけまなこだ。


さらりとした髪も、少し跳ねてる。
なんだか可愛い。


思わず頬がゆるむ。


< 189 / 446 >

この作品をシェア

pagetop