本気の恋の始め方
朝起きると、毛布にくるまった千野君はまだすうすうと眠っていた。
千野君、朝ご飯食べるかな。
私は一日三食がモットーだから食べるつもりだけど、千野君はどうなのかな。
イメージ的に、クロワッサンとカフェオレとか食べそうなんだけど……どうなんだろう。
私だけ食べるのもなんだか恥ずかしいし……。
どうでもいいことを悩みながら、私はけっこうな時間、ソファーの前に座り込んで、千野君の寝顔を眺めていた。
そんな私の視線に気づいたのか
「うーん……」と声を上げてまぶたを持ち上げる彼。
「あ、じゅんさん……」
けれど焦点はあいまいだ。
まだ半分眠っているような雰囲気。
顔を覗き込むと
「おはよう。千野君。ねぇ、朝ご飯食べ――」
「うんうん……」
彼は毛布の中から私の腕をつかみ、いともたやすく腕の中に閉じこめてしまった。