本気の恋の始め方

それから間もなくして、お父さんの転勤話が持ち上がった。


お母さんはお父さんに付いていくという。

私はあと一年学校があるからついてはいけない。

けれどこのマンションは一人で住むには広すぎるし、維持費もかかるので人に貸し、私は独り暮らしをする、ということになった。


独り暮らしは純粋に嬉しい。


だけどここから両親がいなくなったら……

もう、私はここが帰る場所ではなくなってしまう。


今は言葉が交わせなくても、なんとなく、るうくんの気配を感じることが出来るのに、引っ越してしまったらそれも出来なくなる。


どんな理由をつけて、るうくんに会いに行ったらいいんだろう。



「そういえば塁君も、そろそろ家を出るんだって」

「え?」



そして、いよいよ引っ越しが間近になって突きつけられたお母さんの言葉に、頭が真っ白になった。




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