本気の恋の始め方

そうやってドキドキしているところに、

「お待たせしました!」

個室のふすまが開いて、千野君が姿を現した。



振り返ると、彼と目があって。ふわっと微笑まれた。

私も無言で微笑み返す。



同じ空間にいるってだけで、胸がホッとするしあったかくなる。



「あ、千野千早!」



鮎子さんは、自分ばかり恥ずかしい目に遭わされたみたいにプンプンしながら、私の隣に座る千野君にちょっかいを出していたけれど

私といえば、テーブルの下で握られた手ばっかり気になって。


それどころじゃなかったりして――。



焼き鳥の味も、途中でわからなくなった。




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